ラーンネット通信

自分の意見を持つということ@テーマ「みんなの政治」

開校27年「出る杭を伸ばす!」探究的な学びで子どもの成長をサポートする神戸市のオルタナティブスクール、ラーンネット・グローバルスクール。六甲山にあるフルスクールはすべての学びが探究ですが、大きなカリキュラムとしては2つ。個人探究のプロジェクトとみんなで一緒に同じ課題を学ぶテーマ学習。今回は、3学期に行われたテーマをクラスごとにご紹介していきます。第1弾は高学年テーマをお届けします。

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6年生にとっては最後のテーマ学習だった3学期のテーマ「みんなの政治」、政治って難しいって思ってしまいがちだけど、卒業する6年生だけでなく、次のリーダーになる5年生にも、これまでのラーンネット生活で彼らが取り組んで来たことは政治に繋がっていることを知ってほしくて、取り組みました。ラーンネットでは、クラスやスクールで物事を決める時の話し合いの際、多数決では決めません。ラーンネットでは誰もが当たり前に思っていますが、この多数決で決めないというのは、民主主義の基本である「少数の意見を聞くことの大切さ」の実践なのです。お互いに色々な意見を出し認めた上で意見をまとめる。その過程を経験しているからこそ、現代政治の基本の民主主義についてはすんなり理解できたようです。

2回目の授業には、「政治家ってどんな人なんだろう?」を知るために、衆議院議員である井坂さんに来ていただき、政治のしくみをなりきり体験した後、「選挙ごっこ」で選挙の体験をしました。「立候補したい人は、ラーンネットをもっとこうしたいという公約を考えて」と言われて、すぐになんと7人が立候補。実際に使っている選挙マイクを使わせてもらい、それぞれ公約を伝えました。

「不平等をなくす!」

「昼休みを伸ばします!」

「とことんなど人気の授業を増やす!」

「テーマの数を減らして、1つを深く探究することにします!」

「体育を増やして、体力向上!」

「ロッジを立て替えて、エレベーターも設置します!」

「昼休みを増やします!」

みんな堂々と自分の意見を伝えている姿はステキでした。事前の宿題ではなく、言われてすぐに「ラーンネットをこうしたい」が思いつくのは、普段から「もっとこうしたらいいのにな」をきっと考えてくれているんだなと嬉しく思いました。  

今回のテーマで大事にしていた価値観の1つは、「自分の意見を持って、伝えることができる」としました。テーマを通して、「自分に関係することは自分ごととして捉え、意見を持つことが出来ているんだな」と思った授業でした。

8回目の授業では、」保護者の小田さんがゲストに来てくださって、『「みんなで決める」の理想を話そう』という特別授業をしました。
ワイマール憲法は理想的な憲法ではあったけれども抜け穴があり、いまのところ「絶対的な憲法」は作られていない事や、その後ヒトラーの独裁が行われたことやエジプトやミャンマーのクーデターなど世界でおこった出来事を紹介していただきました。
そして、憲法がない国の1つであるイスラエルについて、国の成り立ち、現在の様子などをお話いただいた後、正解のない課題を3つ、みんなで考えました。大人でも答えに詰まるような課題に対して、みんなそれぞれ自分の意見を色々出してくるのは、さすがラーンネット生!です。

テーマ学習のまとめである、探究シェアリングで何をしたいか相談すると「話し合いがしたい」と決まりました。話し合いたい内容として「クローン人間」(小田さんの授業での問いの1つでした)「大阪万博の開催」「憲法改正」の3つに絞り、それぞれ担当を決め、現状と問題点を知った上で、探究シェアリングでは何について話し合うかを相談して、自分の意見を考えていきました。当日、クローン人間についての議論では、保護者もたくさん発言してくださり、「人間とは何か?」と倫理の問題にも広がっていきました。
Tちゃんは「今のところ賛成とも反対ともわからないけど、もっと知りたいと思った」と皆の前に立って意見を述べていました。わからないことをわからないと言える素直さをそのまま表現してくれたことと、大人が真剣に話している姿を見て、さらにもっと知りたいと思えるこの姿勢を見せてくれたことが、よかったなと思いました。

ラーンネットという安心安全の場で、自分の意見を聞いてもらった経験は、今後違う環境に行っても、どうやったら自分の意見を聞いてもらって、建設的に話し合えるかを考え、それぞれの子が実践していけるのではないかと思っています。日本の未来は明るい!と思ったテーマ学習でした。

 

(まっきー)